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凍える月~吉之助の恋~
第7章 第三話 【初戀】 一
「おう、嬢も来たか」
冨松はお絹の背のねんねこ半纏にくるまれたお彩を見て相好を崩した。人当たりの良い笑顔の優しい老人だ。娘と息子が一人ずついるが、息子の嫁が気の強い女で、どうにも一緒に居づらくなり木戸番の仕事をするようになったという。その息子には三人の子がおり、日本橋の商家に嫁入った娘にも二人の子がいるそうだ。
お彩を見ると、去年息子のところに生まれたばかりの末の孫を思い出すのだと細い眼を更に細めて笑う。冨松は釜から取りだしたばかりの焼き芋を馴れた手つきで三つ紙に包んだ。
「一つはおまけ、嬢の分だ」
冨松はお絹の背のねんねこ半纏にくるまれたお彩を見て相好を崩した。人当たりの良い笑顔の優しい老人だ。娘と息子が一人ずついるが、息子の嫁が気の強い女で、どうにも一緒に居づらくなり木戸番の仕事をするようになったという。その息子には三人の子がおり、日本橋の商家に嫁入った娘にも二人の子がいるそうだ。
お彩を見ると、去年息子のところに生まれたばかりの末の孫を思い出すのだと細い眼を更に細めて笑う。冨松は釜から取りだしたばかりの焼き芋を馴れた手つきで三つ紙に包んだ。
「一つはおまけ、嬢の分だ」