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凍える月~吉之助の恋~
第7章 第三話 【初戀】 一
陽太は今年の一月から日本橋の呉服問屋に奉公に出されている。近隣の子どもを集めて悪戯ばかりするガキ大将だが、親分肌のある、どこか憎めない子どもだ。
六つ年上のお絹を「お絹」と呼び捨てにし、いっぱしの口を利く。お絹は陽太がてっきり父親の跡を継いで鋳掛け屋になるのだとばかり思っていたが、陽太はお絹にはっきりと言った。
―おいらは一生懸命働いて一人前の商人(あきんど)になって、金持ちになりてえんだ。
その時、お絹は子どもながらに将来をきちんと考えている陽太を見直したものだった。いつも大人たちを困らせる悪戯ばかりするガキ大将だと思い込んでいたものだけれど、陽太は陽太なりにあれこれと思案していたらしい。
六つ年上のお絹を「お絹」と呼び捨てにし、いっぱしの口を利く。お絹は陽太がてっきり父親の跡を継いで鋳掛け屋になるのだとばかり思っていたが、陽太はお絹にはっきりと言った。
―おいらは一生懸命働いて一人前の商人(あきんど)になって、金持ちになりてえんだ。
その時、お絹は子どもながらに将来をきちんと考えている陽太を見直したものだった。いつも大人たちを困らせる悪戯ばかりするガキ大将だと思い込んでいたものだけれど、陽太は陽太なりにあれこれと思案していたらしい。