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凍える月~吉之助の恋~
第7章 第三話 【初戀】 一
 お絹のよく知る陽太はガキ大将だけれど、男気のある面倒見の良い子だった。弱い子や女の子が泣かされたりしていると、身を張って相手に立ち向かってゆく凛々しさがあった。
 しかし、久しぶりに見る陽太は子どもらしい覇気もなく、ひどく疲れた大人のような表情(かお)をしていたような気がする。
―お絹、俺が大人になったら、お絹の面倒くらい見てやるからな。俺が一人前の男になるまで誰のものにもならねえで待っててくれよ。
 ませた物言いでお絹を嫁にすると宣言していた陽太。むろん、お絹は本気にしてはいなかったけれど、あのときの陽太の子どもらしい邪気のない眼の輝きやあどけない表情がありありと蘇って切なくなった。
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