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凍える月~吉之助の恋~
第7章 第三話 【初戀】 一
今は亡き吉之助が最期の時、生まれた子どもにお守りとして持たせてやってくれと言い遺した鈴だ。お彩の小さな握り拳とほぼ同じくらいはある大きな紅い鈴だ。お彩の実の父吉之助はお絹の身代わりとなって死んだ。
吉之助はお絹を犯し、お彩を身籠もらせたが、最後は惚れ抜いた女を自分の生命を盾として守り死んだのだ。そのことで、吉之助はお絹の心に生涯消えぬ足跡を残すことになった。吉之助への気持ちはけして愛情ではない。お絹の愛するのは今も変わらず良人伊八ただ一人だが、吉之助もまた忘れ得ぬ男の一人となった。
お絹は吉之助の遺言を守り、生まれた娘に紅い鈴をつけた。お絹がお彩を揺する度にチリチリと紅い鈴は澄んだ音色を響かせる。
吉之助はお絹を犯し、お彩を身籠もらせたが、最後は惚れ抜いた女を自分の生命を盾として守り死んだのだ。そのことで、吉之助はお絹の心に生涯消えぬ足跡を残すことになった。吉之助への気持ちはけして愛情ではない。お絹の愛するのは今も変わらず良人伊八ただ一人だが、吉之助もまた忘れ得ぬ男の一人となった。
お絹は吉之助の遺言を守り、生まれた娘に紅い鈴をつけた。お絹がお彩を揺する度にチリチリと紅い鈴は澄んだ音色を響かせる。