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凍える月~吉之助の恋~
第7章 第三話 【初戀】 一
お絹はお彩を背負い、家までの道をゆっくりと辿った。お絹の横を冷たい初冬の風が吹き抜ける。どこから飛んできたのか、わくら葉が足許にひらりと舞い落ちた。茶色っぽく変じた葉は地面を転がる。その様が何故か物哀しく映じた。
空はますます暗さを増し、雨でも降りそうな空模様だ。これまで見たこともない陽太の暗い顔が心から消えなかった。
その夜、お絹は伊八から思いがけぬ話を聞かされた。夕飯の後、お彩に乳を含ませると、むずかっていた赤子はあっさりと眠りに落ちた。お彩がまだ手の掛かる時期でもあり、今年いっぱいは夜泣き蕎麦屋の仕事を休むことにしている。年が明ければ、赤ン坊は伊八に任せ、仕事を再開するつもりでいた。
空はますます暗さを増し、雨でも降りそうな空模様だ。これまで見たこともない陽太の暗い顔が心から消えなかった。
その夜、お絹は伊八から思いがけぬ話を聞かされた。夕飯の後、お彩に乳を含ませると、むずかっていた赤子はあっさりと眠りに落ちた。お彩がまだ手の掛かる時期でもあり、今年いっぱいは夜泣き蕎麦屋の仕事を休むことにしている。年が明ければ、赤ン坊は伊八に任せ、仕事を再開するつもりでいた。