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凍える月~吉之助の恋~
第7章 第三話 【初戀】 一
「早いもんだな。今年もあと一カ月ばかりだな」
しみじみと言う伊八の口調は妻を労るものだ。今年は本当に色んなことがありすぎた。突然さらわれ、吉之助に陵辱された日々―、予期せぬ妊娠、江戸から逃れいっときは伊八との別離を考えた。執念深い以蔵の魔の手が再びお絹を襲おうとした時、吉之助が身をもってお絹を救った。いちばん衝撃的だった吉之助の死。そして、伊八と再び共に暮らすようになり、お彩が生まれた。
丸三日かかった難産の末に生まれたお彩を初めて見た刹那、伊八は男泣きに泣いた。
―良い歳をした大の男だ何だね、おとっつぁんになったんだろう、しっかりしな。
お彩を取り上げた産婆のおかねが呆れ顔で伊八を見ていた。
しみじみと言う伊八の口調は妻を労るものだ。今年は本当に色んなことがありすぎた。突然さらわれ、吉之助に陵辱された日々―、予期せぬ妊娠、江戸から逃れいっときは伊八との別離を考えた。執念深い以蔵の魔の手が再びお絹を襲おうとした時、吉之助が身をもってお絹を救った。いちばん衝撃的だった吉之助の死。そして、伊八と再び共に暮らすようになり、お彩が生まれた。
丸三日かかった難産の末に生まれたお彩を初めて見た刹那、伊八は男泣きに泣いた。
―良い歳をした大の男だ何だね、おとっつぁんになったんだろう、しっかりしな。
お彩を取り上げた産婆のおかねが呆れ顔で伊八を見ていた。