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凍える月~吉之助の恋~
第8章 第三話 【初戀】 二
二
翌朝、伊八が再び喜作の許に出掛けた後、お絹は井戸端に洗濯をしにいった。お彩は家ですやすやと眠っている。たっぷりと乳を飲ませてきたゆえ、しばらくは起きる心配はないだろう。
今日は昨日の陰惨な空模様が嘘のようにからりと晴れ上がった日本晴れだった。薄蒼い空がひろがっている。その分、寒さは一段と強くなった。井戸から汲み上げた水はしんと身が氷るように冷たい。
井戸の傍につわぶきの花が咲いている。菊に似た黄色い花の色が眼にも鮮やかだった。
冬枯れの沈んだ灰色の風景の中に、つわぶきの咲いている場所だけが眩しい。
水に浸した手はたちどころにかじかんだ。お絹がその冷たさに身を震わせたときのことだ。
翌朝、伊八が再び喜作の許に出掛けた後、お絹は井戸端に洗濯をしにいった。お彩は家ですやすやと眠っている。たっぷりと乳を飲ませてきたゆえ、しばらくは起きる心配はないだろう。
今日は昨日の陰惨な空模様が嘘のようにからりと晴れ上がった日本晴れだった。薄蒼い空がひろがっている。その分、寒さは一段と強くなった。井戸から汲み上げた水はしんと身が氷るように冷たい。
井戸の傍につわぶきの花が咲いている。菊に似た黄色い花の色が眼にも鮮やかだった。
冬枯れの沈んだ灰色の風景の中に、つわぶきの咲いている場所だけが眩しい。
水に浸した手はたちどころにかじかんだ。お絹がその冷たさに身を震わせたときのことだ。