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第8章 第三話　【初戀】　二　

　お絹は正直に頷いた。
「俺は盗みなんかしてねえ！」
　陽太が突如として振り絞るように言った。
　お絹はもう一度頷いた。
「信じてるわ。たとえお天道様が西から昇ったって、陽ちゃんが他人(ひと)のものを盗んだりするような子じゃないってことはよおく判ってる」
　と、陽太の大きな眼に大粒の涙が盛り上がった。
「でも、皆が俺がやったと口を揃えて言うんだ。俺は絶対にやってない、盗んだりはしてねえと言っても、誰もろくに取り合ってくれねえ。父ちゃんや母ちゃんまでが俺がやったって思ってる」