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凍える月~吉之助の恋~
第8章 第三話 【初戀】 二
お絹は陽太にもまた強く生きていって欲しかった。盗っ人だという疑いをかけられてしまったのは辛いことには相違ないが、一度や二度のつまずきでいじけたりせず、そんなときこそ立ち直って真っすぐ前を向いて生きていって欲しいと願わずにはおれない。
そんなことを思いながら家の前まで歩いてきた時、お絹の住まいの前に所在なげに佇む若い娘を見かけた。娘といっても、まだ十三、四の少女といった方が良さそうな年頃だ。
「何かご用ですか?」
お絹が声をかけると、娘は愕いたように振り向いた。まだ顔立ちにあどけなさの残る風貌に紅い鹿子の振袖が愛らしい。その身なりから裕福な家の娘だと一目瞭然だ。
そんなことを思いながら家の前まで歩いてきた時、お絹の住まいの前に所在なげに佇む若い娘を見かけた。娘といっても、まだ十三、四の少女といった方が良さそうな年頃だ。
「何かご用ですか?」
お絹が声をかけると、娘は愕いたように振り向いた。まだ顔立ちにあどけなさの残る風貌に紅い鹿子の振袖が愛らしい。その身なりから裕福な家の娘だと一目瞭然だ。