この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
凍える月~吉之助の恋~
第8章 第三話 【初戀】 二
「お嬢さん、陽ちゃん―いえ、陽太さんは絶対に奉公先のお店のお金に手を付けたりするような子じゃありません。もう一度、よく調べてみては頂けませんか」
お絹が言うと、お市は息を呑んだ。
「あなたは陽太の―」
陽太にとって主筋になるお市は同年齢の陽太を平然と呼び捨てにする。それは至極当然のことではあったが、お絹はそんなことも何か不条理な気がしてならない。
突然、陽太の名を持ち出したお絹を、お市は一体何者かと訝しんだようだ。
しかし、それは態度には出さず、お絹は淡く微笑んだ。
お絹が言うと、お市は息を呑んだ。
「あなたは陽太の―」
陽太にとって主筋になるお市は同年齢の陽太を平然と呼び捨てにする。それは至極当然のことではあったが、お絹はそんなことも何か不条理な気がしてならない。
突然、陽太の名を持ち出したお絹を、お市は一体何者かと訝しんだようだ。
しかし、それは態度には出さず、お絹は淡く微笑んだ。