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凍える月~吉之助の恋~
第9章 第三話 【初戀】 三
 軽く頭を下げた陽太が顔を上げた時、既に市兵衛の姿はなかった。そのことにどこかホッとして、陽太は重い足で引き返した。家には、もう息子を京屋へ婿に出したつもりで浮かれている両親がいる。そんな二親のことを思うと、余計に心が重かった。
 今の自分には何の力もない。ただの無力な子どもにすぎない。しがない鋳掛け屋の子だという、ただそれだけの理由で盗っ人呼ばわりされたことの口惜しさは生涯忘れ得まい。
 市兵衛ですら、自分が店の金に手を付けたと端から信じ込んでいたのだ。これまで陽太は市兵衛が人を身分や生まれに関わりなく公正な眼で評価するのだと思っていた。だからこそ、厳しい京屋での丁稚奉公にも耐えることができた。真面目に誠意をもって働いていれば、市兵衛はちゃんと見ていてくれる、そう思ってきた。
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