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凍える月~吉之助の恋~
第9章 第三話 【初戀】 三
 ある意味で、その推量は当たってはおらずとも間違ってはいない。お絹にすれば、その原因が自分にあるのだとは想像さえできないのも当然だ。
 お絹の言葉を唇を噛んで聞いていた陽太が
ハッとした表情になった。
 短い沈黙の後、陽太が口を開いた。
 陽太とお絹の視線が絡む。
―この子はいつから、こんな大人びた眼をするようになったのだろう。
 陽太の眼は既に哀しみを知った者の瞳だった。生きる哀しみ、憂き世の痛みを知った大人のものだ。
「俺、明日、京屋へ戻るよ」
 陽太がお絹の眼を見ながら一語、一語噛みしめるように言った。
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