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凍える月~吉之助の恋~
第10章 第四話 【はまなすの子守唄】 一
とにかくお彩は今は母であるお絹の後ばかり追っていて、お絹の姿がちょっとでも見えないと泣き喚くのだ。こうなると、流石に伊八でも手に負えず、お絹が抱き取るまでは延々と泣き続ける。
ゆえに、お絹はお彩が起きている間は仕事もはかどらず、家事などをする際は背にくくりつけて動くしかない。もっとも、仕立物ばかりは背に重たくなった幼児を背負って出来るものではなく、お彩が眠るのを待つしかなかった。
今日も朝からお彩の相手をしていたお絹だったけれど、お彩はいつになく愚図ってばかりいた。いつもなら背に負えば大人しくなるのに、幾らおぶっても、あやしても泣きやまない。
ゆえに、お絹はお彩が起きている間は仕事もはかどらず、家事などをする際は背にくくりつけて動くしかない。もっとも、仕立物ばかりは背に重たくなった幼児を背負って出来るものではなく、お彩が眠るのを待つしかなかった。
今日も朝からお彩の相手をしていたお絹だったけれど、お彩はいつになく愚図ってばかりいた。いつもなら背に負えば大人しくなるのに、幾らおぶっても、あやしても泣きやまない。