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凍える月~吉之助の恋~
第10章 第四話 【はまなすの子守唄】 一
その身に迫る危険を泣くことで懸命に訴えようとしていたのに、自分はそれが判らなかった。どうして気付いてやらなかったのかと、お絹は余計に我が身を責めた。
大粒の涙がひとたび溢れると、後は堰を切ったように流れ落ちる。涙を拭いもせずに自分を責め続けるお絹に、伊八が吐息混じりに首を振った。
「何もお前(めえ)が悪いわけじゃねえ。自分をあんまり責めるな」
伊八の声には心からの労りがこもっている。そんな良人の優しさに、お絹は余計に泣けてきた。
「だって、お前さん。お彩は、あの子はお前さんの本当の―」
お絹が言いかけると、伊八の声がそのときだけ高くなった。
「止せ、それ以上は言うんじゃねえ」
大粒の涙がひとたび溢れると、後は堰を切ったように流れ落ちる。涙を拭いもせずに自分を責め続けるお絹に、伊八が吐息混じりに首を振った。
「何もお前(めえ)が悪いわけじゃねえ。自分をあんまり責めるな」
伊八の声には心からの労りがこもっている。そんな良人の優しさに、お絹は余計に泣けてきた。
「だって、お前さん。お彩は、あの子はお前さんの本当の―」
お絹が言いかけると、伊八の声がそのときだけ高くなった。
「止せ、それ以上は言うんじゃねえ」