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凍える月~吉之助の恋~
第10章 第四話 【はまなすの子守唄】 一
確かに里絵の言うとおりだった。甚平店は二つの棟が向かい合って建っているが、お絹の住まいは、そのいちばん奥まった場所に位置している。拓馬の住まいはその斜め前、つまり少し手前の木戸口寄りになるから、拓馬の家の前ですれ違ったというのならば、お絹の家から出てきたと考えるのが自然だろう。
ちなみに、拓馬のすぐ隣―お絹の真向かいの部屋は現在は空き部屋で無人になっている。
お絹を動揺させぬようにと言葉を選びながら語っているのも、いかにも里絵らしい細やかな心遣いであった。
里絵は言葉を選びつつも、良人から聞いた当時の話を細かに語った。
「それがこの界隈では見かけぬほどの美しい女性だったというんです」
ちなみに、拓馬のすぐ隣―お絹の真向かいの部屋は現在は空き部屋で無人になっている。
お絹を動揺させぬようにと言葉を選びながら語っているのも、いかにも里絵らしい細やかな心遣いであった。
里絵は言葉を選びつつも、良人から聞いた当時の話を細かに語った。
「それがこの界隈では見かけぬほどの美しい女性だったというんです」