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凍える月~吉之助の恋~
第10章 第四話 【はまなすの子守唄】 一
「あの子はまだ一つです。こんなに長い間私たちから引き離されて、今頃どうしてるんでしょうか。お腹が空いて泣いたりしてないでしょうか」
泣き崩れるお絹を伊八が抱きしめた。
「仮に子ども欲しさの女の仕業だとすれば、お彩を手荒に扱ったりはしめえ。お絹。お彩は俺とお前の子だ。俺たちは二人とも運だけは強いから、お彩もきっと助かる。今はあの子の運を信じるんだ」
他の者が口にすればただの気休めにしか聞こえぬ言葉も、伊八が言えばお絹には真実に思えた。
泣き崩れるお絹を伊八が抱きしめた。
「仮に子ども欲しさの女の仕業だとすれば、お彩を手荒に扱ったりはしめえ。お絹。お彩は俺とお前の子だ。俺たちは二人とも運だけは強いから、お彩もきっと助かる。今はあの子の運を信じるんだ」
他の者が口にすればただの気休めにしか聞こえぬ言葉も、伊八が言えばお絹には真実に思えた。