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凍える月~吉之助の恋~
第10章 第四話  【はまなすの子守唄】 一
 否、恐らくその言葉はお絹にというより伊八自身が自分に向けたものだったに相違ない。他ならぬ伊八こそがお彩の運の強さを、無事を心から信じたいと思ったのだろう。
「な、今はお彩の無事を信じよう」
 伊八の肩に身を預け涙を流しながら、お絹は幾度も頷いた。

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