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凍える月~吉之助の恋~
第2章 第一話 【凍える月~吉之助の恋~】 二
男にグイと上向かされる。有無を言わさぬ強い力だった。お絹はまともに男と顔を合わせることになった。
こうして間近で見ると、一段と美しさが際立つ。闇夜に輝く月のような、満開の夜桜のような妖艶な美貌だ。丸窓からわずかに差し込む月の細い光が男の端整な横貌を照らし出している。
「親分がお前を慰み者にしろと言っている。悪く思うなよ、これは命令だからな」
その言葉に、お絹は眼を見開いた。咄嗟にはその言葉を理解できなかったのだ。
漸くその意味を悟った時、お絹は恐怖を感じるよりも、男に訊ねずにはおれなかった。
「あなたには自分の意思はないの?」
「俺の意思?」
男は思いもかけぬようなことを言われた表情であった。
こうして間近で見ると、一段と美しさが際立つ。闇夜に輝く月のような、満開の夜桜のような妖艶な美貌だ。丸窓からわずかに差し込む月の細い光が男の端整な横貌を照らし出している。
「親分がお前を慰み者にしろと言っている。悪く思うなよ、これは命令だからな」
その言葉に、お絹は眼を見開いた。咄嗟にはその言葉を理解できなかったのだ。
漸くその意味を悟った時、お絹は恐怖を感じるよりも、男に訊ねずにはおれなかった。
「あなたには自分の意思はないの?」
「俺の意思?」
男は思いもかけぬようなことを言われた表情であった。