この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
凍える月~吉之助の恋~
第10章 第四話 【はまなすの子守唄】 一
お絹が言うと、伊八が首を振る。
「要らねえ」
「でも、少しでも」
言いかけたお絹に伊八が怒鳴った。
「うるせえ。お前はよくこんなときにのんびりと飯のことなんぞ考えてられるな」
怖ろしいほどの気まずい沈黙があった。
刹那、伊八が唇を噛んだ。
「済まねえ。苛々しちまって、つい大きな声を出しちまった。お前は俺の身体を考えて言ってくれたっていうのにな」
伊八は重い息を吐き、暗い顔で呟いた。
「それにしても、一体なんだって言うんだ?皆があれほど血眼になって探し回ってるっていうのに、何でかけらほどの手懸かりもねえんだよ」
その声音には烈しい苛立ちと憔悴が混じり合っていた。
「要らねえ」
「でも、少しでも」
言いかけたお絹に伊八が怒鳴った。
「うるせえ。お前はよくこんなときにのんびりと飯のことなんぞ考えてられるな」
怖ろしいほどの気まずい沈黙があった。
刹那、伊八が唇を噛んだ。
「済まねえ。苛々しちまって、つい大きな声を出しちまった。お前は俺の身体を考えて言ってくれたっていうのにな」
伊八は重い息を吐き、暗い顔で呟いた。
「それにしても、一体なんだって言うんだ?皆があれほど血眼になって探し回ってるっていうのに、何でかけらほどの手懸かりもねえんだよ」
その声音には烈しい苛立ちと憔悴が混じり合っていた。