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凍える月~吉之助の恋~
第10章 第四話 【はまなすの子守唄】 一
その想いは烈しく真剣であった。やがてお絹は解放されるが、吉之助に陵辱されたのが元でお絹は懐妊する。伊八は身重のお絹を腹の子ごと引き受けるつもりで所帯を持った。お縞の許に現れた吉之助は珍しく浴びるように酒を呑みながら語った。
―俺はお絹が誰の女になったって構やしねえ。あいつがただ幸せであってくれたなら良い。
その時、お縞は弟の女への想いの深さを知った。だが、以蔵はまたしても懲りずに復讐の魔手を伸ばそうとしていた。その後しばらく、吉之助はお絹が幸せな新婚生活を送っていると思っていた。が、ある日突然、お絹は伊八の前から姿を消した。祝言を挙げたひと月後に、妊娠が発覚したからだ。お絹の失跡を知った時、吉之助はまだお絹の懐妊を知らなかった。
―俺はお絹が誰の女になったって構やしねえ。あいつがただ幸せであってくれたなら良い。
その時、お縞は弟の女への想いの深さを知った。だが、以蔵はまたしても懲りずに復讐の魔手を伸ばそうとしていた。その後しばらく、吉之助はお絹が幸せな新婚生活を送っていると思っていた。が、ある日突然、お絹は伊八の前から姿を消した。祝言を挙げたひと月後に、妊娠が発覚したからだ。お絹の失跡を知った時、吉之助はまだお絹の懐妊を知らなかった。