パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第10章 第四話　　【はまなすの子守唄】　一

　お絹は縋るような眼で留七を見た。
「それで、お縞さんは今、どこにいなさるんですか」
　留七はいかにも気の毒げに応えた。
「申し訳ねえが、あっしにも判らねえ。一ヶ月前、プイと出ていっちまったまま霞みのように消えちまった」
　お絹はその場にくずおれた。良人である留七さえ知らぬとあれば、お縞の居場所を知るのは絶望的であった。それは即ち、お彩の行方も掴めぬということである。
　と、傍らで思案に沈んでいた伊八が顔を上げた。
「留七さんよ。あんたに心当たりはないか？　あんたとお縞さんは夫婦として七年もの年月を過ごしてきた仲だ。あんたなら、お縞さんの考えそうなこと、お彩を連れて行きそうな場所に心当たりがあるんじゃねえのかい」