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凍える月~吉之助の恋~
第10章 第四話 【はまなすの子守唄】 一
伊八の真摯な視線に、留七が小首を傾げた。
「そうさな。あいつの行きそうなところと言やア―」
しばし考え込み、留七は唸った。
「故郷の玄武―くれえかな」
留七の返答に伊八とお絹は再び顔を見合わせる。
「お縞はいつも生まれ故郷に帰りたがってたんだ。あいつにとっては、あんたらの子はたった一人の姪っ子だし、吉之助の残した形見でもある。その姪っ子を連れて、ふるさとに戻りてえと思ったとしても不思議はねえ」
「お絹。玄武に行くぞ」
伊八がゆらりと立ち上がった。
「そうさな。あいつの行きそうなところと言やア―」
しばし考え込み、留七は唸った。
「故郷の玄武―くれえかな」
留七の返答に伊八とお絹は再び顔を見合わせる。
「お縞はいつも生まれ故郷に帰りたがってたんだ。あいつにとっては、あんたらの子はたった一人の姪っ子だし、吉之助の残した形見でもある。その姪っ子を連れて、ふるさとに戻りてえと思ったとしても不思議はねえ」
「お絹。玄武に行くぞ」
伊八がゆらりと立ち上がった。