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凍える月~吉之助の恋~
第2章 第一話 【凍える月~吉之助の恋~】 二
「飲めよ」
男がお絹に無造作に盃を渡す。お絹は盃を持ったまま蒼ざめて男を見上げた。
「あなたは―」
お絹の物問いたげな顔に、男が冷笑を浮かべたまま応える。
「俺は吉之助(よしのすけ)、蠍の以蔵の一の手下だ」
その名を耳にしたお絹は息を呑んだ。吉之助は、以蔵の懐刀と云われている副領格の男だ。年齢は定かではないが、眼前の男はまだ二十五、六の若さのように見える。以蔵と同じく冷酷なことでは知られ、時には親分以上に残酷とも囁かれている。
男―吉之助はうっすらと笑んで続ける。
「もう一つ、良いことを教えてやろう。お前の恋しい男の正体をな」
―伊八っつぁんの正体?
お絹は眼をみはる。
男がお絹に無造作に盃を渡す。お絹は盃を持ったまま蒼ざめて男を見上げた。
「あなたは―」
お絹の物問いたげな顔に、男が冷笑を浮かべたまま応える。
「俺は吉之助(よしのすけ)、蠍の以蔵の一の手下だ」
その名を耳にしたお絹は息を呑んだ。吉之助は、以蔵の懐刀と云われている副領格の男だ。年齢は定かではないが、眼前の男はまだ二十五、六の若さのように見える。以蔵と同じく冷酷なことでは知られ、時には親分以上に残酷とも囁かれている。
男―吉之助はうっすらと笑んで続ける。
「もう一つ、良いことを教えてやろう。お前の恋しい男の正体をな」
―伊八っつぁんの正体?
お絹は眼をみはる。