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凍える月~吉之助の恋~
第2章 第一話 【凍える月~吉之助の恋~】 二
その時、お絹はふと不安を抱いた。伊八には、ただの飾り職人としての他に、お絹の知らぬ全く別の顔があるのではないかと感じたのである。
あのときの訳の判らぬ不安は今もずっと心の底にわだかまったままだ。
あれから伊八は、物静かで屈託のない笑みの似合う常の伊八だけれど、本源寺で見せた一瞬の変化をお絹は忘れられなかった。
「あの男は闇の世界と深く拘わってる」
お絹は衝撃のあまり、言葉を失った。
吉之助が冷えた眼差しをお絹に向けた。お絹の反応を確かめるように見つめている。
「喜作親方が闇とつながっているのはお前も知ってるだろう。伊八は親方が闇の世界と連絡を取るときのつなぎ役を務めているんだ」
「―」
お絹は愕然とした。
あのときの訳の判らぬ不安は今もずっと心の底にわだかまったままだ。
あれから伊八は、物静かで屈託のない笑みの似合う常の伊八だけれど、本源寺で見せた一瞬の変化をお絹は忘れられなかった。
「あの男は闇の世界と深く拘わってる」
お絹は衝撃のあまり、言葉を失った。
吉之助が冷えた眼差しをお絹に向けた。お絹の反応を確かめるように見つめている。
「喜作親方が闇とつながっているのはお前も知ってるだろう。伊八は親方が闇の世界と連絡を取るときのつなぎ役を務めているんだ」
「―」
お絹は愕然とした。