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凍える月~吉之助の恋~
第11章 第四話 【はまなすの子守唄】 其の参
時間が止まったかと思った。伊八が、お縞がお絹を見た。お彩は眠っているのか、泣き声一つ立てない。
月とハマナスの花だけが見守る静かな海辺の夜だった。
お絹は傍らの伊八の視線を痛いほど感じた。
―お前さん、許して。
お絹は小さく息を吸い込んだ。前方からお縞がひたと見据えている。吉之助によく似た眼が真っすぐに向けられていた。お絹は、あたかも自分が今、吉之助と対峙しているような錯覚に囚われた。
「あんたは吉之助を愛していたのかえ、お絹さん」
月とハマナスの花だけが見守る静かな海辺の夜だった。
お絹は傍らの伊八の視線を痛いほど感じた。
―お前さん、許して。
お絹は小さく息を吸い込んだ。前方からお縞がひたと見据えている。吉之助によく似た眼が真っすぐに向けられていた。お絹は、あたかも自分が今、吉之助と対峙しているような錯覚に囚われた。
「あんたは吉之助を愛していたのかえ、お絹さん」