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凍える月~吉之助の恋~
第11章 第四話 【はまなすの子守唄】 其の参
大切だけれど、男として異性として愛しているというのでもない。吉之助は生命掛けでお絹とお彩を守ってくれた男でもあり、お彩の紛れもない実の父親であった。その事実は絶対に変わるはずがない。
それでも。
お絹は傍らの伊八を見た。
「今のお彩の父親はこの人なんです。吉之助さんがこの世に送り出し、自分の生命を犠牲にしてまで守り抜いてくれたお彩を、今も、そしてこれからも、この人が父親として引き受けていってくれるはずです」
「吉之助がこの世に送り出した、生命」
お縞が腕の中の幼児を見て、烈しく首を振る。その様は何かに必死に抵抗するようでもあった。
それでも。
お絹は傍らの伊八を見た。
「今のお彩の父親はこの人なんです。吉之助さんがこの世に送り出し、自分の生命を犠牲にしてまで守り抜いてくれたお彩を、今も、そしてこれからも、この人が父親として引き受けていってくれるはずです」
「吉之助がこの世に送り出した、生命」
お縞が腕の中の幼児を見て、烈しく首を振る。その様は何かに必死に抵抗するようでもあった。