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凍える月~吉之助の恋~
第11章 第四話  【はまなすの子守唄】 其の参 
「いずれ、お絹さん、あんたとそこの亭主との間にも赤ン坊が生まれるだろう。そうしたら、お彩は厄介者になっちまう。今は亭主もお彩を可愛がってくれるけど、誰だって自分の血を分けた子どもが可愛いのは当たり前だよ。だから、そんなことにならない中に私がお彩を引き取って育てるのさ。吉之助の遺した、たった一人の忘れ形見にそんな哀しい想いはさせられない」
 と、伊八がお縞の言葉を遮るような勢いで叫んだ。
「俺はそんなことはしねえ」
「フン、今は何とでも言えるさ」
 お縞はどこまでも頑なだ。が、伊八も負けてはいない。
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