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凍える月~吉之助の恋~
第11章 第四話  【はまなすの子守唄】 其の参 
「―あたしの亭主も馬鹿だけど、あんたもつくづく馬鹿だよね」
 ややあって、お縞が零した言葉だった。
 やがて、お縞がすっと腕を差し出した。その腕にはすやすやと眠るお彩の無邪気な姿があった。
 お彩の衿許には赤子の拳大の鈴が縫いつけられている。それは他ならぬ吉之助がお絹に手渡した鈴であった。以蔵が放った刺客に襲われた際は、その鈴を鳴らして知らせろと吉之助は言った。
 事実、その赤い鈴はお絹の生命を救うことになったのである。鈴の音を聞いて駆けつけた吉之助が盾になって、お絹を刺客から守った。
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