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凍える月~吉之助の恋~
第11章 第四話 【はまなすの子守唄】 其の参
―この鈴を生まれた子に持たせてやってくれねえか。お前と腹の子の生命を守ってくれた鈴だ、きっとこれからもお前たちを俺の代わりに守るだろう。
吉之助は最後にそう言い残して死んだ。今もお絹はその遺言を守り、お彩に鈴を肌身離さず身につけさせている。けして口にはできないけれど、その鈴だけがお彩と吉之助を結びつけるよすがであった。この頃では、その鈴を玩具代わりにして遊ぶお彩の姿が見られる。衿許に縫いつけられた鈴をチリチリと鳴らして嬉しげにはしゃぐのだ。
お絹は震える手でしっかりと我が子を抱き取った。
隣から伊八がその寝顔を覗き込む。
お絹は涙を零しながら、数日ぶりに手許に戻ってきた我が子を抱きしめた。
吉之助は最後にそう言い残して死んだ。今もお絹はその遺言を守り、お彩に鈴を肌身離さず身につけさせている。けして口にはできないけれど、その鈴だけがお彩と吉之助を結びつけるよすがであった。この頃では、その鈴を玩具代わりにして遊ぶお彩の姿が見られる。衿許に縫いつけられた鈴をチリチリと鳴らして嬉しげにはしゃぐのだ。
お絹は震える手でしっかりと我が子を抱き取った。
隣から伊八がその寝顔を覗き込む。
お絹は涙を零しながら、数日ぶりに手許に戻ってきた我が子を抱きしめた。