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凍える月~吉之助の恋~
第11章 第四話 【はまなすの子守唄】 其の参
「誰が何と言っても、お前は父ちゃんの子だ。良いか、今から覚悟しとけよ。大きくなって好きな男なんぞ連れてきてみろ、相手の男を俺が殴り倒して、追い返してやるからな」
伊八は眠っている子に話しかけ、そのすべらかな頬をそっと撫でた。お彩の頬に伊八の零した熱い涙がしたたり落ちた。
ふとお絹が気付いた時、確かにそこにいたはずのお縞は既にいなかった―。
あれは真に現の出来事であったのか。茫然とするお絹には亡くなった吉之助がお縞の姿を借りて、この世に帰ってきたとしか思えなかった。
伊八は眠っている子に話しかけ、そのすべらかな頬をそっと撫でた。お彩の頬に伊八の零した熱い涙がしたたり落ちた。
ふとお絹が気付いた時、確かにそこにいたはずのお縞は既にいなかった―。
あれは真に現の出来事であったのか。茫然とするお絹には亡くなった吉之助がお縞の姿を借りて、この世に帰ってきたとしか思えなかった。