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凍える月~吉之助の恋~
第11章 第四話  【はまなすの子守唄】 其の参 
 今頃、江戸では留七がお縞の帰りを待ち侘びているのだろう。吉之助もたった一人の姉の幸せを望んでいるはずだ。お絹はお縞が江戸に、留七の許に戻ってくれることを祈らずにはおれなかった。
 お絹の耳奧で、お縞の歌声が蘇る。お縞の歌っていた子守唄と静かな波の音がごく自然に重なる。哀しい唄だった。
 満月の光がハマナスの花を優しく照らす幻想的な夜の出来事である。お絹はお彩を腕に抱きながら、いつまでも波の奏でる子守唄に聴き入っていた。
               


☆はまなすの花言葉-美しい哀しみ



(第四話【はまなすの子守唄】了 )


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