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凍える月~吉之助の恋~
第12章 第五話 【雪うさぎ】 壱
が、地道な暮らしに耐え切れず志半ばで出奔して極道どもの大親分と云われるまでに成り上がったのだ。喜作は以蔵の悪行の数々を知っており、それをネタに以蔵を脅迫して、吉蔵が一味から抜けることに対して見て見ぬふりをさせた。
以蔵は報復のため、喜作の弟子である伊八の恋人お絹をさらわせた。その命を受けたのは以蔵の懐刀とも呼ばれる一の子分吉之助(よしのすけ)であった。吉之助は以蔵の命によりお絹をさらい、江戸の町外れ本源寺に幽閉し、手込めにした。
半月後にお絹は解放されたが、お彩はそのときに芽生えた生命であった。伊八はすべてを承知で、お絹と所帯を持ったのである。伊八のお彩への態度は誰が見ても実の娘へのものに思える。そのことについて、お絹はいつも良人に手のひらを合わせたい想いであった。
以蔵は報復のため、喜作の弟子である伊八の恋人お絹をさらわせた。その命を受けたのは以蔵の懐刀とも呼ばれる一の子分吉之助(よしのすけ)であった。吉之助は以蔵の命によりお絹をさらい、江戸の町外れ本源寺に幽閉し、手込めにした。
半月後にお絹は解放されたが、お彩はそのときに芽生えた生命であった。伊八はすべてを承知で、お絹と所帯を持ったのである。伊八のお彩への態度は誰が見ても実の娘へのものに思える。そのことについて、お絹はいつも良人に手のひらを合わせたい想いであった。