この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
凍える月~吉之助の恋~
第12章 第五話 【雪うさぎ】 壱
朝飯を済ませた後、伊八は喜作の住まいに用事があるとかで出かけていった。お絹はお彩を近くの町医者柴田慶安のところまで連れてゆこうと思ったが、様子を見ていても、くしゃみもせず、至って健康そうに思える。かえって、この雪の中を連れ出す方が風邪を引くのではと思い直し、しばらくは見守ることにした。
今、お彩はお絹の傍らの布団で無邪気な寝顔を見せている。お絹はお彩が物心つくようになるまでは夜泣き蕎麦の仕事は休業ということにしている。伊八は良人として女房に夜間の仕事をさせるのは気が進まぬらしいが、当分は休むということで内心はホッとしているらしい。
今、お彩はお絹の傍らの布団で無邪気な寝顔を見せている。お絹はお彩が物心つくようになるまでは夜泣き蕎麦の仕事は休業ということにしている。伊八は良人として女房に夜間の仕事をさせるのは気が進まぬらしいが、当分は休むということで内心はホッとしているらしい。