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凍える月~吉之助の恋~
第12章 第五話 【雪うさぎ】 壱
―女が読み書きの学問なんぞできても仕方ねえや。かえって生意気になるだけじゃねぇのか。
 と、あまり気の進まぬ参次を根気よく説得してくれて、手習いに通えるようになったのも、この〝先生〟こと岩倉拓馬(いわくらたくま)のお陰であった。
―うん、よくできた。お絹坊はなかなか筋が良い。
 と、頭(つむり)を大きな手で撫でて誉めてくれるのが嬉しくて、お絹は子どもなりに一生懸命励んだ。その結果、読み書きも自在にでき、算術までこなすようになった。今では〝先生〟が不在のときは代理として子どもたちに指南するほどまでになっている。
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