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凍える月~吉之助の恋~
第12章 第五話 【雪うさぎ】 壱
 そのような〝本〟が既にもう何冊も部屋の片隅の柳行李の中に大切に仕舞われていた。
たまには日本橋通油町にある紙屋に行き、美しい千代紙の装丁が施された帳面を買い求めてきて、それに書くこともある。今使っているのもその紙屋で買ってきた帳面で、麻の葉模様の綺麗な表紙に惹かれていた。
 夜泣き蕎麦屋を休んでいる間、お絹は仕立物の内職をしている。伊八は腕の良い職人だが、まだその稼ぎは知れている。伊八の稼ぎとお絹の内職の報酬を併せて、やっとその日が暮らしてゆけるのだ。あまり贅沢は叶わぬ身だけれど、たまに日本橋に出かけて気に入った帳面を買うのがお絹の何よりの愉しみであった。そんなお絹を見て、伊八は笑う。
―着物の一枚より、そんな紙束の方が良いとは、お前もつくづく変わった女だぜ。
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