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凍える月~吉之助の恋~
第13章 第五話 【雪うさぎ】 弐
それから半刻余り後、お絹は拓馬の家を訪ねた。遠慮がちに腰高障子を叩くと、中からはすぐに応(いら)えが返ってきた。お絹はその声に励まされるように障子を開けて中に入った。先生―拓馬が振り向く。どうやら遅い朝飯の最中であったらしい。
小さなちゃぶ台の上には冷や飯に白湯をかけただけの茶漬とも言えぬ代物と半ば干からびた漬け物がのっていた。
「先生、そんなお食事をなさっていては、今にお身体を壊しちまいますよ?」
お絹が呆れたように言うと、拓馬は肩をすくめた。
「お絹坊は昔から口の達者な子だったが、所帯を持ってからは磨きがかかったな。あんまりご亭主に口やかましく申しておると、愛想を尽かされるぞ」
小さなちゃぶ台の上には冷や飯に白湯をかけただけの茶漬とも言えぬ代物と半ば干からびた漬け物がのっていた。
「先生、そんなお食事をなさっていては、今にお身体を壊しちまいますよ?」
お絹が呆れたように言うと、拓馬は肩をすくめた。
「お絹坊は昔から口の達者な子だったが、所帯を持ってからは磨きがかかったな。あんまりご亭主に口やかましく申しておると、愛想を尽かされるぞ」