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凍える月~吉之助の恋~
第13章 第五話 【雪うさぎ】 弐
そのときも拓馬こと〝先生〟は、まるで我が子がいなくなったかのように必死の形相で探し回った。やはり今のように、誰が見ても判るほどの空元気を装い、大きな声でいなくなった子の両親や他の連中を励ましていたものだ。
「先生、どうして奥様にお逢いにならないのですか?」
突然の問いに、拓馬の顔が見る間に強ばった。昨日、里絵を追い返そうとしていたときと同じ顔だ。
「これは身共の個人的なこと、そなたには所詮拘わりなきことゆえ、どうか放っておいて貰いたい」
いつもとは別人のような、冷たい他人行儀な口調に、お絹は首を振った。
「先生、どうして奥様にお逢いにならないのですか?」
突然の問いに、拓馬の顔が見る間に強ばった。昨日、里絵を追い返そうとしていたときと同じ顔だ。
「これは身共の個人的なこと、そなたには所詮拘わりなきことゆえ、どうか放っておいて貰いたい」
いつもとは別人のような、冷たい他人行儀な口調に、お絹は首を振った。