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凍える月~吉之助の恋~
第13章 第五話 【雪うさぎ】 弐
「何言ってるんですか、この甚平店に住む人は皆、助け合って生きてるんですよ。そのことは先生もよおくご存じじゃありませんか。左官の徳太郎さんのところのおさよちゃんがありもしない借金のかたに女衒に連れていかれそうになった時、先生は真っ先に駆けつけて追い払いましたよね? 桶屋の井吉さんのところのおはつちゃんがいなくなったときは先頭に立って江戸の町中を走り回ったじゃありませんか。あれは、他人事じゃないんですか!?」
その台詞に、拓馬が一瞬、怯んだ。お絹の声が高くなる。
「まだまだありますよ。私、ちゃんと憶えてるんですから。確か豆腐屋の惣二郎さんが―」
「もう良い」
拓馬が遮るように言った。
その台詞に、拓馬が一瞬、怯んだ。お絹の声が高くなる。
「まだまだありますよ。私、ちゃんと憶えてるんですから。確か豆腐屋の惣二郎さんが―」
「もう良い」
拓馬が遮るように言った。