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凍える月~吉之助の恋~
第13章 第五話 【雪うさぎ】 弐
「そんな―」
 あまりにも残酷な運命であった。又之進という若き藩士は正義感の強い男であったのだろう。また、若さゆえの血気と無謀もあったかもしれない。が、それがすべての発端となった。
 声もないお絹に拓馬は淡々と続ける。
「すべてをわしに打ち明けた又之進は、殿に事の次第を言上した上で腹を切ると言う。わしはそれを止めた。釆女を斬ったのはこのわしということにすれば良いと言うてやった。むろん、最初、又之進はそのような卑怯なことはできぬと申した。さりながら、又之進は年若く、先がある身、あたら死なせるには惜しい男であったのだ」
「それで、先生は、ご自分が又之進様の身代わりとなったのですね」
 声が震えた。
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