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凍える月~吉之助の恋~
第16章 第七話 【辻堂】 一
そのくせ、人一倍のお人好しで、困っている人を見かけたら、けして放っておけないという性分も持ち合わせている。そんな危なっかしいところのある母を父はいつもはらはらしながら見守っていたけれど、父がいかに母に惚れているかというのは、四つのお彩にも明らかだった。
母の方はといえば、自分が男たちの好色な視線に晒されていることになんか気付きもせず、むしろ、まだ幼いお彩を夜中伊八だけに任せておくことに躊躇いを覚えているようだ。しかし、母には申し訳ないけれど、お彩は父と二人だけで夜間に留守番するのは少しも淋しくはない。父が添い寝して色々なお伽話を聞かせてくれるのが何よりの愉しみであった。
母の方はといえば、自分が男たちの好色な視線に晒されていることになんか気付きもせず、むしろ、まだ幼いお彩を夜中伊八だけに任せておくことに躊躇いを覚えているようだ。しかし、母には申し訳ないけれど、お彩は父と二人だけで夜間に留守番するのは少しも淋しくはない。父が添い寝して色々なお伽話を聞かせてくれるのが何よりの愉しみであった。