この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
凍える月~吉之助の恋~
第16章 第七話 【辻堂】 一
が来たという想いだ。
「あのね、おっかさん」
お彩は口を開いた途端、言葉に窮した。
一体、何と言えば良いのだろうか。お彩がいつになく言葉少なにもじもじしているのを見、お絹は微笑んだ。
「どうしたんだえ、いつもは賑やかなお喋りさんが急に黙(だんま)りになっちまうなんて、お天道さまが西から昇っちまうよ」
おどけた口調で心もち肩をすくめる母に向かい、お彩は小さくかぶりを振る。
「―おとっつぁんとそんなに仲が悪いの? 離縁しようと思うほど、おとっつぁんのことが嫌いになっちまったの?」
ひと息に言った娘を、お絹は愕いたような表情で眺めている。
「お彩、お前、一体何言って―」
「あのね、おっかさん」
お彩は口を開いた途端、言葉に窮した。
一体、何と言えば良いのだろうか。お彩がいつになく言葉少なにもじもじしているのを見、お絹は微笑んだ。
「どうしたんだえ、いつもは賑やかなお喋りさんが急に黙(だんま)りになっちまうなんて、お天道さまが西から昇っちまうよ」
おどけた口調で心もち肩をすくめる母に向かい、お彩は小さくかぶりを振る。
「―おとっつぁんとそんなに仲が悪いの? 離縁しようと思うほど、おとっつぁんのことが嫌いになっちまったの?」
ひと息に言った娘を、お絹は愕いたような表情で眺めている。
「お彩、お前、一体何言って―」