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凍える月~吉之助の恋~
第16章 第七話 【辻堂】 一
「何がおかしいの、おっかさん。私は心底、おとっつぁんとおっかさんのことを心配してるのよ? 二人共大好きだし、家族が離れ離れに暮らすのなんて嫌だもの!」
お彩が興奮した面持ちで更に食ってかかると、お絹は相変わらず笑んだまま静かな口調で言う。
「いきなり何を言い出すかと思えば、妙なことを言い出すものだねえ?」
お絹はゆっくりとしゃがみ込むと、お彩と同じ眼線の高さになった。娘に語りかける時、お絹はよくこんな風にお彩と同じ高さで物を見る姿勢になる。お絹はお彩のつややかな黒髪を愛おしげに撫でた。
「馬鹿なことを言ったり考えたりするものじゃない。何で、私とおとっつぁんが離縁なんぞするもんか。
お彩が興奮した面持ちで更に食ってかかると、お絹は相変わらず笑んだまま静かな口調で言う。
「いきなり何を言い出すかと思えば、妙なことを言い出すものだねえ?」
お絹はゆっくりとしゃがみ込むと、お彩と同じ眼線の高さになった。娘に語りかける時、お絹はよくこんな風にお彩と同じ高さで物を見る姿勢になる。お絹はお彩のつややかな黒髪を愛おしげに撫でた。
「馬鹿なことを言ったり考えたりするものじゃない。何で、私とおとっつぁんが離縁なんぞするもんか。