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凍える月~吉之助の恋~
第16章 第七話 【辻堂】 一
ひっそりと佇む辻堂、そのほとりに静かに紅白色の睡蓮を浮かべて横たわる池、池の水面を掠めるように、あるいはその少し上を戯れ合うように飛び交う無数の赤トンボ。
まるで一枚の絵を見るかのようであった。睡蓮は早朝に花開き、夕方に萎むという習性があり、既に蕾を閉じているものもかなりあったが―、それでもそれらの風景は見る者を圧倒し、その心を打つものがあった。
「綺麗」
思わず洩らした呟きに、お絹が満足げに微笑した。
「私は、ここから眺める景色ほど美しい場所を他に知らないね」
お絹はまるで我が事のように得意げに言うと、お彩に向かって微笑みかけた。
まるで一枚の絵を見るかのようであった。睡蓮は早朝に花開き、夕方に萎むという習性があり、既に蕾を閉じているものもかなりあったが―、それでもそれらの風景は見る者を圧倒し、その心を打つものがあった。
「綺麗」
思わず洩らした呟きに、お絹が満足げに微笑した。
「私は、ここから眺める景色ほど美しい場所を他に知らないね」
お絹はまるで我が事のように得意げに言うと、お彩に向かって微笑みかけた。