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凍える月~吉之助の恋~
第16章 第七話 【辻堂】 一
お絹は何を思ったか、その鈴を眼の前に掲げるようにして振る。チリン、チリンと澄んだ、それでいてどこか物哀しい音色が淡い闇のしじまに儚く溶けてゆく。
「この鈴をこれから後はお守だと思って、いつも持っていなさい」
母の声にお彩が物問いたげな眼を向けると、母は笑った。
「この鈴は、お前にとって大切な人が持っていたものだよ。きっと、これからお前を守り、良き方向へと導いてくれるだろう」
「この鈴を持っていた人は死んだの?」
お彩が恐る恐る問うと、母は小さく頷いた。
「ああ、もう随分と前に死んじまった」
刹那、お彩の幼い胸に閃くものがあった。
「もしかして、その人って、ここで眠っている人?」
しかし、その問いに母が応えることはついになかった。
「この鈴をこれから後はお守だと思って、いつも持っていなさい」
母の声にお彩が物問いたげな眼を向けると、母は笑った。
「この鈴は、お前にとって大切な人が持っていたものだよ。きっと、これからお前を守り、良き方向へと導いてくれるだろう」
「この鈴を持っていた人は死んだの?」
お彩が恐る恐る問うと、母は小さく頷いた。
「ああ、もう随分と前に死んじまった」
刹那、お彩の幼い胸に閃くものがあった。
「もしかして、その人って、ここで眠っている人?」
しかし、その問いに母が応えることはついになかった。