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凍える月~吉之助の恋~
第3章 第一話 【凍える月~吉之助の恋~】 三
 が、お絹の姿は見当たらない。落胆しかけた矢先、少し離れた先にある御堂の窓の向こう側に想い人の姿を認めた。
 小さな丸窓の障子戸が細く開いている。そこにいるのは、間違いなくお絹だ。
「お絹―!!」
 伊八は声の限りに惚れた女の名を呼んだ。
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