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凍える月~吉之助の恋~
第3章 第一話 【凍える月~吉之助の恋~】 三
いつもは部屋の前で見張りに立っている男たちの姿も見当たらない。お絹は導かれるまま軋む廊下を歩いた。
―ここは、本源寺!?
表まで連れてこられたその時、お絹は漸く、自分が囚われていたここが本源寺であることを知った。さらわれるようにしてここに連れてこられて以来、ずっと奥まった小部屋に軟禁されていたので、迂闊にも判らなかったのだ。
用心棒は、お絹を表まで誘導すると、すぐに奧へ引き返していった。
古い戸が軋みながら音を立てて背後で閉まる。用心棒に外へ押し出されたお絹はゆるりと振り向いた。
明るさに慣れぬ眼に冬の陽が眩しい。思わず眼を瞬かせたその瞬間、お絹は突如としてふわりと抱きしめられた。
―ここは、本源寺!?
表まで連れてこられたその時、お絹は漸く、自分が囚われていたここが本源寺であることを知った。さらわれるようにしてここに連れてこられて以来、ずっと奥まった小部屋に軟禁されていたので、迂闊にも判らなかったのだ。
用心棒は、お絹を表まで誘導すると、すぐに奧へ引き返していった。
古い戸が軋みながら音を立てて背後で閉まる。用心棒に外へ押し出されたお絹はゆるりと振り向いた。
明るさに慣れぬ眼に冬の陽が眩しい。思わず眼を瞬かせたその瞬間、お絹は突如としてふわりと抱きしめられた。