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凍える月~吉之助の恋~
第4章 第二話 【鈴の音】 一
「もしかして、お絹ちゃん、おめでたじゃないのかい」
おさんの何気ないひと言に、お絹はビクリと身を慄わせた。
「いやね、昨日もここで気分が悪そうにしてたのをちらっと見たんだよ。まぁ、私にも憶えがあることだからさ」
おさんは明るい声で言う。親切で陽気な女だが、少々お喋りなのが玉に傷だ。
「伊八さんもこんなに早くにおとっつぁんになるなんて、愕くやら歓ぶやらだろうよ。でも、身籠もったと判ったのが祝言を挙げた後で良かったね」
何も知らぬおさんは、のんびりと間延びした口調で話す。
おさんの何気ないひと言に、お絹はビクリと身を慄わせた。
「いやね、昨日もここで気分が悪そうにしてたのをちらっと見たんだよ。まぁ、私にも憶えがあることだからさ」
おさんは明るい声で言う。親切で陽気な女だが、少々お喋りなのが玉に傷だ。
「伊八さんもこんなに早くにおとっつぁんになるなんて、愕くやら歓ぶやらだろうよ。でも、身籠もったと判ったのが祝言を挙げた後で良かったね」
何も知らぬおさんは、のんびりと間延びした口調で話す。