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凍える月~吉之助の恋~
第4章 第二話 【鈴の音】 一
―あの。
お絹が遠慮がちに言いかけても、おかねは相も変わらず振り向きもしない。
―流すことはできないでしょうか。
その言葉に、初めておかねがお絹を見た。
お絹はまともに視線を合わせることもできず、うつむいた。
―流すとは、子を堕ろすってことかい。
おかねの皺だらけの小さな顔に埋まった細い眼が鋭く光った。
お絹が言葉もなく頷くと、おかねは首を振った。
―生憎と、うちは生ませるの専門でね。中将流のような真似はしてないんだ。お前さんにも事情があるんだろうから、必ず生みなさいなんてことは言わないよ。まぁ、そういう気なら、悪いが他を当たって貰わないとね。ただ、これだけは老婆心で言っとくけど、お前さんの腹の子はもう五ヶ月になってるから、堕ろすのはかなり難しいよ。
お絹が遠慮がちに言いかけても、おかねは相も変わらず振り向きもしない。
―流すことはできないでしょうか。
その言葉に、初めておかねがお絹を見た。
お絹はまともに視線を合わせることもできず、うつむいた。
―流すとは、子を堕ろすってことかい。
おかねの皺だらけの小さな顔に埋まった細い眼が鋭く光った。
お絹が言葉もなく頷くと、おかねは首を振った。
―生憎と、うちは生ませるの専門でね。中将流のような真似はしてないんだ。お前さんにも事情があるんだろうから、必ず生みなさいなんてことは言わないよ。まぁ、そういう気なら、悪いが他を当たって貰わないとね。ただ、これだけは老婆心で言っとくけど、お前さんの腹の子はもう五ヶ月になってるから、堕ろすのはかなり難しいよ。