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凍える月~吉之助の恋~
第1章 【第一話 凍える月~お絹と吉之助~】 一
なまじ整った男前だけに、月明かりに照らし出された男の顔は凄絶なほどに美しい。
男が微笑む。まるで美しき死神があでやかに微笑んだかのようだ。冷えた眼差しに一瞬心奪われそうになったお絹の意識は鳩尾(みぞおち)に強い衝撃を感じ、刹那、そこで絶ち切られた。
お絹は深い深い底なしの闇にいた。いくら叫んでみても、助けを求めても、誰も助けにきてはくれない。
お絹は夢中で周囲を見回す。ぬばたまの闇ばかりに塗り込められた黒一色の世界が続くだけだ。
ふと前方にかすかな光が見えた。次の瞬間には、ふっとかき消えてしまうのではないかと思えるほどに儚い、たった一筋の光だ。だが、今のお絹にとっては、この闇から抜け出すための唯一の助けとなり得るかもしれない。お絹は必死に一条の光へ少しでも近付こうと身体を動かした。
男が微笑む。まるで美しき死神があでやかに微笑んだかのようだ。冷えた眼差しに一瞬心奪われそうになったお絹の意識は鳩尾(みぞおち)に強い衝撃を感じ、刹那、そこで絶ち切られた。
お絹は深い深い底なしの闇にいた。いくら叫んでみても、助けを求めても、誰も助けにきてはくれない。
お絹は夢中で周囲を見回す。ぬばたまの闇ばかりに塗り込められた黒一色の世界が続くだけだ。
ふと前方にかすかな光が見えた。次の瞬間には、ふっとかき消えてしまうのではないかと思えるほどに儚い、たった一筋の光だ。だが、今のお絹にとっては、この闇から抜け出すための唯一の助けとなり得るかもしれない。お絹は必死に一条の光へ少しでも近付こうと身体を動かした。