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凍える月~吉之助の恋~
第5章 第二話 【鈴の音】   二
 仲買人は三十過ぎの気の好い男で、お絹の素性を詮索することもなく仕立物を良い値で引き取ってくれた。買い取った品は江戸の問屋にまた売りつけるのだそうだ。
 ひと針ひと針心を込めて縫い上げてゆく。母になる歓びを実感できるひとときだ。生まれてくる子が自分に似ているように、せめて父親の面差しを受け継いではいないように―と祈りながら一枚を縫い上げたその時、表の戸を遠慮がちに叩く音が聞こえた。
 お絹は緩慢な動作で立ち上がり、土間に降りた。草履を突っかけ、表の腰高障子を細めに開けた。そろそろ流石に長い夏の陽も傾く頃だ。橙色の夕陽が家の前の人気もない道に長い影を落としていた。
 小さな村外れの昼間でさえ人通りもない道だ。道端にぽつんと一本立つ樹だけが緑濃い葉を鬱蒼と茂らせていた。
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